じぶんだけの「個性」をみつける方法。なぜ今「個性」が求められるのか

 

 初めに、みなさんに聞きたいことがあります。

 

「じぶんに個性がある」「じぶんは個性的な人間だ!」と思いますか?

 

 この質問に対して自信をもってイエス!と答えられる人は、そう多くない気がします。というのも、日本に住んでると生育環境が似通ってきてしまいますからね……みんなが全国共通の「学習指導要領」に則った学校生活を受けているわけですから。おそらく、あなたが持っている知識はほかの誰かも持っていて、その逆もありえてしまいます。

 

 そんな画一化教育で育てられた我々日本人は、みんながみんな同じ知能や能力を備えており、突出した才能があっても多くの場合は見逃されてしまいます。

 しかし、この画一的な集団は「没個性的で非生産的だ」だと一部に揶揄されています。たしかに、近代的な工場労働者だったり/ひと昔前の一次産業の従事者だったりであれば、「みんながおなじ能力水準」であることがメリットでした。ところが、工業が飽和してモノがあふれる現代社会では、このような画一的な集団は非生産的なのです。

 

 なぜならば、現代は「モノをそのまま売る」時代ではなく、「モノに付加価値をつけて売る」時代だからです。

 ぼくは最近わけあってブランド論という学術分野について研究しているのですが、ブランド研究は年々さかんになり、論文数も増加しています。これは、現代社会において”ただ「モノを売る」こと”が不可能になったことを暗示しているのかもしれません。

 つまり、現代は「モノを売る」ではなく「モノに付加価値をつけて売る」時代なのです。これが競合との差別化…いわゆる「個性を出す」ことだと考えられますね。

 

 これは産業に限った話ではありません。すなわち、個人レベルでも「個性」を出していかなければならないのです。落合陽一さんやホリエモンが口やかましく警鐘を鳴らしているのも、この類の事態です。

 落合さんもホリエモンも、「百姓をめざせ!」といっています。百姓の「姓」には、職業という意味があります。つまり「百姓」とは、「100の職業をもつ者」ということです。

 「100人に1人」の職業=個性がただ1つしかなければ、それは「100人に1人」ですが、それが2種類あれば「100×100=10000人に1人」になります。同様に、3種類の「姓」があれば「100万人に1人」の人間になれるんです。百姓って実はすごいことだったんですね!

 

 さて、現代に生きる我々が百姓になるために必要なのが、「個性」です。個性とは「他の人にはないじぶんだけの特長」のことですが、今回は、個性を見つける方法についてひとつだけ語ってみることにします。

 

 それは、「ほかの人がピンとこないような分野に興味関心を抱いた時に、徹底的に突き詰める」ことです。「好きなことは○○!」じゃなくて、「〜〜だから○○が好き!」という風にね。”なぜ”好きになったのか、常に「理由」を問い続けるのです。そこには必ず、じぶんのセンサーがそれに反応するようになった何かしらの原体験があるはずなので。もしそれが、ほかの人がピンと来ていない事柄だったとしたら、チャンスです!それは「じぶんだけの個性」になりえます。

 

 好きになった、興味を持ったものに、その理由を追求してください。そして、その原体験それ自体が、じぶん自身のアイデンティティとなり、武器になっていくんです。

 

 じぶんも、常に意識して問い続けています。これ、トップレベルのひとはおそらく無意識にできてしまうんですが、そうじゃないひとは、意識してやらないと難しいです。

 問い続けることで、じぶんの感覚の機微がより理解できるようになり、なにより、じぶん自身と、じぶん自身の「個性」とを深く理解できるようになりました。ぜひ実践してみましょう