【日経平均株価急落】なぜ下がった?下がるとどうなる?【徹底解説】
こんにちは、コガサトシです。
ここ数日のニュース番組を通して、「日経平均株価が急落」「世界的な株安」と耳にした方は多いと思います。
しかし、こんな人もいるでしょう。「日経…平均株価…?ナニソレ」「株安だからなんだーー!」今回はそんな方々に対する記事です。経済ニュースをスッキリ理解して、明日の教養人を目指しましょう!
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1 ニュースの概要。一体何が起こったのか?
1-1 12月 日経平均株価が急落
12月25日。クリスマスムードに包まれた日本は突如、経済的な危機に見舞われました。「日経平均株価」が急落し、20000円以下へと割り込んでいきます。
日経新聞でも大々的に報知されましたね。
25日の東京市場で日経平均株価が急落した。下げ幅は一時1000円を超え、取引時間中としては約1年3カ月ぶりに2万円を下回った。24日の米ダウ工業株30種平均の下げ幅は653ドルに達し、投資家が世界的にリスク回避の姿勢を強めている。米国発の動揺はアジア市場に広がり、上海総合指数も一時、年初来安値をつけた。
(日本経済新聞 2018年12月25日夕刊1面)
20000円を下回ったのは1年3か月ぶりだそうで。
1年3か月前といえば2017年9月ですかね。北朝鮮情勢が逼迫してたり、小池さんが希望の党を結成したり…。
1-2 日経平均株価とは?
ここで、「日経平均株価とは何ぞや?」という方に向けて、日経平均株価について少し解説します。わかる人は飛ばしてね。
日経平均株価とは、「日本を代表する有名企業・大企業の株価の平均値」のことです。ここで使われる企業とは、日経新聞社によってみごと選出された255社のことで、トヨタやキヤノンなんかが入っているそうです。
この255社には、様々な業界の企業が選ばれています。ですので、ある業界が著しく落ち込んでしまった場合も、日経平均株価は低下します。もちろん、景気が減退して日本全体で会社の売り上げが低迷している場合も低下してしまいます。
次の節で日経平均株価の推移グラフを載せるのでその時に理解していただけると思いますが、この平均株価は、ここのところ20000円以上のあたりを維持していて、ほとんど安定していました。今回は、それが急落してしまったんですね。
1-3 (グラフ)日経平均株価の推移
以下は日経平均株価の推移を示したものです。
確かに、横軸の"Dec 2018(2018年12月)"のあたりで急落していますね。点線をふった部分では20000円を切っています。
日経平均株価の読み方はこの本を参考にしましょう。日経新聞社が出版しているので信用おけます。
2 日経平均株価が動く要因
日経平均株価が大きく変動するときには、かならず何らかの理由があります。(火のないところに煙は立ちませんからね)
この章では、その理由についてまとめます。
2-1 日経平均株価が下がる要因
2-1-1 政治的要因-汚職やスキャンダルを例に-
まず第一に、政治的要因があります。国内外問わず、政治的な問題が発生した場合に、日経平均株価が下落することがあります。
たとえば、政治家の汚職・スキャンダル。ここ数年間でも様々な汚職やスキャンダルが発覚していますね。「うちわ問題」「政治とカネ問題」「二重国籍問題」挙げればきりがありません。
政治に問題が起こると、国の信頼がガタ落ちします。そうなると、その国の商品は、比較的買われなくなりますね。商品が買われなければ売上は下がりますから、株価も低下します。
2-1-2 経済的要因-「高いから買わないよ!」-
「値段が高かったので、買うのをためらった」
このような経験を、みなさんも一度はしたことがあると思います。
実はこの葛藤は、僕たち個人にだけではなく、モノを売る側である「企業」にも同じように存在します。企業がものを作るのには材料が必要ですが、材料を手に入れるにはそれを買う必要があります。それが高ければ、買うのをためらいますよね?値段が高いと購入をためらう心理は、企業による購買行動のなかにもあるのです。
この葛藤は、外国企業が日本製品を購入する際にも発生します。日本製品の価格が何らかの原因によってつり上がった場合、外国企業は日本製品の購入をためらうことになります。
そして、日本製品の価格がつり上がってしまう第一の原因が、「為替」の存在です。言葉は聞いたことあるのではないでしょうか?以下に詳しく解説します(例のごとく、わかる人はとばしてね)。
「日本製品の価格がつり上がる」現象を為替の立場から言い換えると、「日本円の価値が上がっている」と言うことができます。
日本円の価値が上がっている…とは、円が高くなっている状態。つまり、円高です。円高になると、日本製品の価値がつり上がるのです。
イメージとしては以下のような感じ。
つまり、外国企業からすれば、円高のときに日本製品を買う場合、買うことのできる数量が以前よりも減ってしまうのです。そのため、購入を躊躇してしまいます。
すなわち、円高になると【日本製品は売れない】→【売れないから、売上が下がる】→【売上が下がるということは、株価・日経平均株価が下落する】ということになるのです。
2-1-3 国際的要因-戦争中の国には売れない-
最後に、国際的な要因についてさらっと解説します。これは「戦争中の国には売れない」ということです。もちろん戦争に限らず、喧嘩中の国(北朝鮮とはなかなか貿易しづらいですよね)や、経済危機に見舞われている国などには、製品を売ることができません。できても数量が減ったりと、デメリットが多いでしょうね。
戦争中で売れない製品ができると、その分だけ売上からマイナスになります。すなわち、結果的に日経平均株価は下がってしまうのです。これを「地政学リスク」というメディアもあります。
2-2 日経平均株価が上がる要因
これは、先ほどの「下がる要因」の逆をたどります。
2-2-1 政治的要因-信頼できる国から買いたい-
みなさんは、カメラを買うときに「信頼できる大手電気店」と「どこの誰がやってるかわからない謎だらけの店」、どちらで購入したいですか?
99%の人は前者を選択すると思います。それは、「信頼」があるからです。
これは国も同じで、「信頼できない国」よりも「信頼できる国」と取引をしたいと考えるものです。信頼を持てる国の商品は、よく売れます。
では、「信頼」はいかにして獲得するのでしょうか?
その顕著な例が、外交/政治だと考えられます。総理や外務大臣をはじめとする政治家の外交政策/明るく明解な政治が、「信頼できる国」につながっていくのです。
さまざまな政策を通して勝ち得た「信頼」は、やがて堅調な購買力を産生します。すると、国内企業の製品がよく売れるようになるので、利益は増加し、日経平均株価は上昇していくのです。
2-2-2 経済的要因-安い!買おう!-
とある製品は店舗Aでは1000円、店舗Bでは1200円で売られています。さて、みなさんはどちらを買いますか?
ほとんどすべての人が店舗Aを利用し、1000円で製品を購入することだと思います。
為替変動によって円安になる(日本円の価値が下がる)と、同じドルであっても以前より多くの製品を購入できるようになります。相対的に日本製品の価値が下がったのです。こうなると外国企業が日本製品を購入しようとする意欲が刺激され、より多くの日本製品購買につながっていきます。その結果、日経平均株価は上昇していくのです。
2-2-3 国際的要因-平和な国に売りたい-
先ほども述べましたが、戦争中や国際的に孤立した国との貿易は躊躇されます。なぜなら、このような国と貿易することは、常にリスクを伴うからです。例えば戦争中の国では、世界大戦期のような統制経済により、貿易が制限される可能性があります。あるいは孤立した国は、何らかの問題を抱えているため、常に貿易が停止されるおそれがあります。
こうして考えると、貿易にあたって「平和な国に製品を輸出したい」と考えるのは自然なことです。
すなわち、日本が平和であることは、日本製品が売れることにつながり、さらには日経平均株価向上につながるのです。
3 今回の日経平均急落の原因
今回の株安はアメリカ発だといわれています。アメリカで起こった経済問題が、日本に波及したというのです。しかし、「市場参加者はどれが株安の原因なのかわからなくなっている」という趣旨の発言もあり、原因を追究することは容易ではありません。ただし、アメリカで行われた金融政策や最近の話題である米中貿易摩擦などが間接的であれ要因であるという見方が強いようです。
3-1 原因① FRBによる政策金利の利上げ
アメリカ連邦準備理事会(FRB)とはアメリカにおける中央銀行のことで、日本でいう日本銀行のような組織だと考えていただければと思います。
そのFRBが2015年から続けてきた「政策金利の利上げ」が株安の一因であるという見方が存在します。
3-1-1 「政策金利の利上げ」とはなにか
政策金利とは、「中央銀行が一般の銀行にお金を貸すときの利率」のことです。この利上げがなされると、一般の銀行は中央銀行からお金を借りづらくなります。そして、貸すための資金が減少しているので、企業に融資する際にもしばしば貸し渋りがおきます。そのため、企業は思うように資金を得ることができず、設備投資や人材投資などを通した事業拡大に乗り出すことが不可能になります。
下に簡単な図で示しておきます。
一見デメリットだらけな政策金利の利上げですが、とある条件下ではメリットになります。
それは「景気が良すぎる時」です。「景気が良すぎて困ることなんてねーよ!」と思う方がいるかもしれません。しかし、困ることはあるんです。
景気が良くなると、家計による消費活動が活発になります。するとだんだん、インフレ傾向になっていきます。景気がいいと「高くても買おう」と考える人が増えるので、だんだん物価が上がってしまう(=インフレになる)んですね。こうなってくると、少しずつ生活に負担が出てきます。高い、高い、高い…モノの値段はつり上がり、気付けばコーラ1杯10000円、なんてこともあり得てしまうのです。
このような事態を防ぐために導入されるのが「政策金利の利上げ」です。景気が良すぎるときに利上げが行われると、お金の回りが遅滞しはじめ、とめどないインフレーションの抑止力となるのです。
3-1-2 行き過ぎた利上げ政策
さて、今回の利上げ政策ですが、どうやら「やりすぎた」ようです。インフレ抑止力としての政策が裏目に出てしまいました。
確かに近年、アメリカの景気は好調で、インフレ危惧も多くされていたといいます。失業率は3.7%にまで低下し、順調に景気拡大への道をたどっていました。
ところが今回、株安という形でそれが裏目に出てしまいました。日本の株価が下がったのは、アメリカの株安が波及したからなのですね。
これを受けてFRBのトップ、パウエル議長は「2019年の利上げ回数を想定していた3回ではなく、2回」とする趣旨の発言をしています。うまく収まるといいのですが…
3-2 原因② 米中貿易摩擦による不安感
今回の株安がアメリカ発ということを鑑みれば、米中間のしがらみが大きな影を落としていると考えることができます。
ご存知でしょうか。今年に入って、アメリカは中国と熾烈な貿易戦争を繰り広げていたのです。その様子は週刊エコノミスト誌にも特集されるほど。中国の通信機器大手、ZTEへの経済制裁(部品供給の停止など)をはじめとする貿易摩擦は、世界中の産業経済に悪影響を及ぼしているのは言うまでもありません。
これは先ほどの変動要因でいえば③国際的要因に属する要素ではないかと思います。
本記事では政策金利と貿易摩擦を取り上げましたが、もちろん株安の原因はこれだけではないでしょう。おそらくここに書き尽くせないほどの事象が絡んでいると思われます。時間に余裕があれば適宜追記していきたいと考えているので、もしよろしければ定期的にチェックしてみてください。笑
4 日経平均株価の変動による影響
さて、ここまで株価変動の原因について解説してきました。ここからは、実際のところ株価変動がどのような影響をもたらすかについて書いていきたいと思います。
4-1 日経平均株価が上がるメリット
「日経平均株価?上がるとどうなるの?」こう思った人は少なくないでしょう。ここでは、そんな人に向けて「日経平均株価が上がるメリット」について書きます。
日経平均株価は「景気を映す鏡」です。つまり、日経平均株価の数値をみれば、現在の景気がどのような位置にあるか把握できるのです。
日経平均株価が上がると、市場や家計に安心感・期待感が生まれます。「景気は好調だ」こう考えると、なんだか少しばかり贅沢してみたい気になりませんか?企業も同じです。景気拡大が予測されると、多くの企業は設備投資や人材投資を通して新事業に着手するようになります。こうして企業は新たな利益を生み、経済を活性化させていくことができます。
ここでは、雇用も改善されます。企業はお金を持つので、より多くの人材を採用することができるようになります。つまり、その分働き口が増え、失業率は減り、…最終的にはさらなる消費の押上げにつながっていくのです。
4-2 日経平均株価が下がるデメリット
逆の場合はどうでしょうか。
景気減退が予測されると、消費は細ります。「いつ首を刎ねられるかわからない」そんな不安が取り巻くことになるかもしれません。企業も利益が縮小しお金がないので、なけなしの金は未来のための内部留保にかわり、人材の採用枠はどんどん縮減します。
そうなると、失業率は増え、景気はさらに悪化…と、暗黒のスパイラルに陥ってしまいます。来るか、一億総悲観社会。
5 おわりに
日経平均株価は下落。
日本政府はこのような事態に対して、これまでもマイナス金利政策(利上げの正反対)を行ったりなど対策を練ってきました。今回の株安では、どのような対策が練られるのでしょうか。今後の株価回復を願って、この記事の締めとしたいと思います。アーメン。
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