混沌を終わらせようとする力

半年以上前から続く混沌状態は、いまだに終息の目途さえ立ちません。季節は冬を越え盛夏に至り、ついには蝉の声が耳を刺すようにもなりました。いかがお過ごしでしょうか。

昨年末から世界中で猛威を振るうコロナウイルスの感染拡大を阻止すべく、政府の発令した緊急事態宣言に則りテレワークが推進され(たいして増えていないけれど)、不要不急の外出や県を跨ぐ移動を自粛する動きがありました。その効果もあり、5月にはいったん感染者が減少しました。ところが1か月後、事態はまた悪化し始め、今に至っても終息の目途が立たず、ワクチンも今年度中の実用は無理との発言もあります。混沌は、まだ終わっていないのです。

にもかかわらず、この混沌状態を、むりやり「終わらせようとする力」が働いているような気がします。なにやら大きな力が働き、東京を除く県を跨ぐ移動が大きく奨励されてもいるようです。

伸びきった輪ゴムから手を離すと非常な勢いで飛んで行ってしまうように、緊張状態からきゅうに手を緩めることは、おぞましい反動を生みます。今回の「終わらせようとする力」も同様です。ましてや半年間じっと外出もせず我慢に我慢を重ねていた人々にとっては、その反動力は言うまでもなく膨大な力の束として日本中を動き回ることでしょう。僕は都内在住ではありますが、一応「名所」として観光ガイドに載っている地域に在住しています。窓から町を見下ろしてみると、ここでも、あふれんばかりの人が蠢いていました。移動の奨励すらされていない地域でさえも、人が密集しています。

混沌を「終わらせようとする力」は、社会の上部・下部双方から発されているような気がします。なんだか無理しているようなその力は、圧倒的な反動力を生み、日本の都市ネットワークの網の目を高速で移動しています。その力の淵源は、いずれもかなり感情的なレベルにあるような気がします。「もう我慢できない!」の声が、日本中から聞こえてきます。もしくは、国会議事堂からも聞こえてくるようです。

感情に流されて忍耐力を失った国民は、かつてなかったような大移動を行うでしょう。ひとりひとりの無自覚が、日本のあらゆるスポットに死の種を撒き散らすことでしょう。僕はその「終わらせようとする力」が憎くて憎くて仕方ありません。

出生前診断の件数が10年で2倍に。現状や問題点を解説!

 「出生前診断」という言葉を知っていますか?出生前診断とは、産まれる前に赤ちゃんの遺伝的異常や先天性の病気・奇形の有無を検査する診断のことです。先天性疾患児の発生率は2.3%と高く、その中にはダウン症や口唇口蓋裂なども含まれます(口唇口蓋裂は落合陽一さんのお子さんが罹患されたものですね)。

 検査方法はさまざまです。超音波検査をはじめとして、胎内の羊水や絨毛、さらに胎児の血液等、さまざまな検査が行われています。さらに、正確性の高い新型出生前診断=NIPTとよばれる検査方法も導入され、ますますバラエティに富む(?)ようになりました。

 

 

1 出生前診断の現状

1-1 出生前診断の現状

1-1-1 出生前診断は増加傾向

 出生前診断は、10年前にはメジャーな診断ではありませんでした。以下のグラフを見てください。

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 これは、出生前診断の件数推移を示したグラフです。これによれば、2006年時点で29300件だった診断件数は、16年には70000件を超過しました。倍率にしておよそ2.4倍です。

 このように、診断件数は急速に伸長しています。ところが、国内の妊婦全体に占める件数の割合は1割未満と、決して多くはありません。倫理や信条の面で出生前診断を受けないと決めている方も少なくないと考えられますが、予防医療などに応用できるなどの利点があるので、個人的にはもう少し普及してもいいんじゃないかなと思います。

 

1-1-2 海外における出生前診断

 ちなみに、海外では出生前診断がかなりメジャーになっている国もあります。たとえば英国やフランス、デンマークなんかは、2010年の時点で全妊婦中の診断件数割合が7割を超えているそうです。

 

1-2 出生前診断増加の背景

 ところで、出生前診断の件数が増加した背景には何があったのでしょう?

 それは、高齢出産の増加です。一般に妊娠は、母体が高齢であればあるほどさまざまなリスクを伴います。そこには、母体そのもののリスクもありますが、産まれてくる赤ちゃんの身体に対するリスクもあるのです。そこで、高齢出産の場で出生前診断を下すことによって、そのリスクを事前に認識することができるのです。

 

 さて、高齢出産はどれだけ増加してきているのでしょうか?

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 上のグラフ*1を見ると、35歳以上の妊娠が急増していることがわかります。現代の結婚事情について、「晩婚化」という言葉が使われることがありますが、この現実はまさにこの「晩婚化」が如実に投影されたものですね。

 

2 出生前診断の問題点

 出生前診断は、胎児に潜む先天的な異常を解明する点で非常に優れています。しかし、これには批判も存在します。

 

2-1 出生前診断に対する批判

 「命の選別につながる」という批判があります。

 確かに、そういった点は否定できません。出生前診断を利用することは、これから生まれてくる赤ちゃんの異常を発見することと同義です。そうなると、わが子に先天的異常を発見した親が、その子の養育を拒否する・もっと言えば「産むのを拒否する」ケースが発生しかねません。異常をもって産まれた赤ちゃんが、『コインロッカー・ベイビーズ』になってしまうかもしれないのです。

 

2-2 「命の選別」を防ぐための対策

 そこで日本産婦人科学会は、対策案を講じました。

 それは、出生前診断を受ける対象を制限するということです。「専門医がいて、かつカウンセリングが受けられる医療機関」で、「35歳以上の妊婦」に限定するのです。そうすれば、若者による無責任な子捨て・堕胎の心配が減りますし、カウンセリングを受けることによって安心して予防医療・治療にあたることができますね。

 

3 出生前診断のまとめ

 いかがでしたでしょうか。

 今回は出生前診断と呼ばれる特異な診断について簡単に解説しました。今後も件数は増加していくと思われますし、読者のみなさんの中には実際に利用する方がでてくるかもしれません。費用や実際の検査方法について詳しく解説しませんでしたが、それらについては他のメディアで分かりやすく示されています。そちらもぜひ合わせてごらんください!

 

 「命の選別」につながるおそれがある出生前診断。しかし、うまく利用できれば、親や産まれてくる胎児にとってこれほど心強い診断はありません。僕としては、出生前診断が今後もどんどん普及していくこと、そしてそれを使って命の選別をするような輩が殲滅されることを願うばかりです。

 

 

 ちなみに、さっき言った「コインロッカー・ベイビーズ」というのは、稀代の作家・村上龍の代表作のひとつです。

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

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 破壊と衝動に彩られた狂気をぜひご堪能ください。超おすすめ。 

【日経平均株価急落】なぜ下がった?下がるとどうなる?【徹底解説】

 こんにちは、コガサトシです。

 ここ数日のニュース番組を通して、「日経平均株価が急落」「世界的な株安」と耳にした方は多いと思います。

 しかし、こんな人もいるでしょう。「日経…平均株価…?ナニソレ」「株安だからなんだーー!」今回はそんな方々に対する記事です。経済ニュースをスッキリ理解して、明日の教養人を目指しましょう!

 

 

 

1 ニュースの概要。一体何が起こったのか?

 

1-1 12月 日経平均株価が急落

 12月25日。クリスマスムードに包まれた日本は突如、経済的な危機に見舞われました。「日経平均株価」が急落し、20000円以下へと割り込んでいきます。

 

 日経新聞でも大々的に報知されましたね。

25日の東京市場で日経平均株価が急落した。下げ幅は一時1000円を超え、取引時間中としては約1年3カ月ぶりに2万円を下回った。24日の米ダウ工業株30種平均の下げ幅は653ドルに達し、投資家が世界的にリスク回避の姿勢を強めている。米国発の動揺はアジア市場に広がり、上海総合指数も一時、年初来安値をつけた。

(日本経済新聞 2018年12月25日夕刊1面)

 

 20000円を下回ったのは1年3か月ぶりだそうで。

 1年3か月前といえば2017年9月ですかね。北朝鮮情勢が逼迫してたり、小池さんが希望の党を結成したり…。

 

1-2 日経平均株価とは?

 ここで、「日経平均株価とは何ぞや?」という方に向けて、日経平均株価について少し解説します。わかる人は飛ばしてね。

 

 日経平均株価とは、「日本を代表する有名企業・大企業の株価の平均値」のことです。ここで使われる企業とは、日経新聞社によってみごと選出された255社のことで、トヨタやキヤノンなんかが入っているそうです。

 この255社には、様々な業界の企業が選ばれています。ですので、ある業界が著しく落ち込んでしまった場合も、日経平均株価は低下します。もちろん、景気が減退して日本全体で会社の売り上げが低迷している場合も低下してしまいます。

 

 次の節で日経平均株価の推移グラフを載せるのでその時に理解していただけると思いますが、この平均株価は、ここのところ20000円以上のあたりを維持していて、ほとんど安定していました。今回は、それが急落してしまったんですね。

 

1-3 (グラフ)日経平均株価の推移

 以下は日経平均株価の推移を示したものです。

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  確かに、横軸の"Dec 2018(2018年12月)"のあたりで急落していますね。点線をふった部分では20000円を切っています。

 

 日経平均株価の読み方はこの本を参考にしましょう。日経新聞社が出版しているので信用おけます。

株がわかる!  日経平均公式ガイドブック 第2版

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2 日経平均株価が動く要因

 日経平均株価が大きく変動するときには、かならず何らかの理由があります。(火のないところに煙は立ちませんからね)

 この章では、その理由についてまとめます。

 

2-1  日経平均株価が下がる要因

2-1-1 政治的要因-汚職やスキャンダルを例に-

 まず第一に、政治的要因があります。国内外問わず、政治的な問題が発生した場合に、日経平均株価が下落することがあります。

 たとえば、政治家の汚職・スキャンダル。ここ数年間でも様々な汚職やスキャンダルが発覚していますね。「うちわ問題」「政治とカネ問題」「二重国籍問題」挙げればきりがありません。

 政治に問題が起こると、国の信頼がガタ落ちします。そうなると、その国の商品は、比較的買われなくなりますね。商品が買われなければ売上は下がりますから、株価も低下します。

 

2-1-2 経済的要因-「高いから買わないよ!」-

 「値段が高かったので、買うのをためらった」

 このような経験を、みなさんも一度はしたことがあると思います。

 実はこの葛藤は、僕たち個人にだけではなく、モノを売る側である「企業」にも同じように存在します。企業がものを作るのには材料が必要ですが、材料を手に入れるにはそれを買う必要があります。それが高ければ、買うのをためらいますよね?値段が高いと購入をためらう心理は、企業による購買行動のなかにもあるのです。

 

 この葛藤は、外国企業が日本製品を購入する際にも発生します。日本製品の価格が何らかの原因によってつり上がった場合、外国企業は日本製品の購入をためらうことになります。

 

 そして、日本製品の価格がつり上がってしまう第一の原因が、「為替」の存在です。言葉は聞いたことあるのではないでしょうか?以下に詳しく解説します(例のごとく、わかる人はとばしてね)。

 

 「日本製品の価格がつり上がる」現象を為替の立場から言い換えると、「日本円の価値が上がっている」と言うことができます。

 日本円の価値が上がっている…とは、円が高くなっている状態。つまり、円高です。円高になると、日本製品の価値がつり上がるのです。

 イメージとしては以下のような感じ。

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 つまり、外国企業からすれば、円高のときに日本製品を買う場合、買うことのできる数量が以前よりも減ってしまうのです。そのため、購入を躊躇してしまいます。

 すなわち、円高になると【日本製品は売れない】→【売れないから、売上が下がる】→【売上が下がるということは、株価・日経平均株価が下落する】ということになるのです。

 

2-1-3 国際的要因-戦争中の国には売れない-

 最後に、国際的な要因についてさらっと解説します。これは「戦争中の国には売れない」ということです。もちろん戦争に限らず、喧嘩中の国(北朝鮮とはなかなか貿易しづらいですよね)や、経済危機に見舞われている国などには、製品を売ることができません。できても数量が減ったりと、デメリットが多いでしょうね。

 

  戦争中で売れない製品ができると、その分だけ売上からマイナスになります。すなわち、結果的に日経平均株価は下がってしまうのです。これを「地政学リスク」というメディアもあります。

 

2-2 日経平均株価が上がる要因

 これは、先ほどの「下がる要因」の逆をたどります。

 

2-2-1 政治的要因-信頼できる国から買いたい-

 みなさんは、カメラを買うときに「信頼できる大手電気店」と「どこの誰がやってるかわからない謎だらけの店」、どちらで購入したいですか?

 99%の人は前者を選択すると思います。それは、「信頼」があるからです。

 これは国も同じで、「信頼できない国」よりも「信頼できる国」と取引をしたいと考えるものです。信頼を持てる国の商品は、よく売れます。

 

 では、「信頼」はいかにして獲得するのでしょうか?

 その顕著な例が、外交/政治だと考えられます。総理や外務大臣をはじめとする政治家の外交政策/明るく明解な政治が、「信頼できる国」につながっていくのです。

  さまざまな政策を通して勝ち得た「信頼」は、やがて堅調な購買力を産生します。すると、国内企業の製品がよく売れるようになるので、利益は増加し、日経平均株価は上昇していくのです。

 

2-2-2 経済的要因-安い!買おう!-

 とある製品は店舗Aでは1000円、店舗Bでは1200円で売られています。さて、みなさんはどちらを買いますか?

 ほとんどすべての人が店舗Aを利用し、1000円で製品を購入することだと思います。

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 為替変動によって円安になる(日本円の価値が下がる)と、同じドルであっても以前より多くの製品を購入できるようになります。相対的に日本製品の価値が下がったのです。こうなると外国企業が日本製品を購入しようとする意欲が刺激され、より多くの日本製品購買につながっていきます。その結果、日経平均株価は上昇していくのです。

 

2-2-3 国際的要因-平和な国に売りたい-

 先ほども述べましたが、戦争中や国際的に孤立した国との貿易は躊躇されます。なぜなら、このような国と貿易することは、常にリスクを伴うからです。例えば戦争中の国では、世界大戦期のような統制経済により、貿易が制限される可能性があります。あるいは孤立した国は、何らかの問題を抱えているため、常に貿易が停止されるおそれがあります。

 こうして考えると、貿易にあたって「平和な国に製品を輸出したい」と考えるのは自然なことです。

 

 すなわち、日本が平和であることは、日本製品が売れることにつながり、さらには日経平均株価向上につながるのです。

 

3 今回の日経平均急落の原因

 今回の株安はアメリカ発だといわれています。アメリカで起こった経済問題が、日本に波及したというのです。しかし、「市場参加者はどれが株安の原因なのかわからなくなっている」という趣旨の発言もあり、原因を追究することは容易ではありません。ただし、アメリカで行われた金融政策や最近の話題である米中貿易摩擦などが間接的であれ要因であるという見方が強いようです。

3-1 原因① FRBによる政策金利の利上げ

 アメリカ連邦準備理事会(FRB)とはアメリカにおける中央銀行のことで、日本でいう日本銀行のような組織だと考えていただければと思います。

 そのFRBが2015年から続けてきた「政策金利の利上げ」が株安の一因であるという見方が存在します。

 

3-1-1 「政策金利の利上げ」とはなにか

  政策金利とは、「中央銀行が一般の銀行にお金を貸すときの利率」のことです。この利上げがなされると、一般の銀行は中央銀行からお金を借りづらくなります。そして、貸すための資金が減少しているので、企業に融資する際にもしばしば貸し渋りがおきます。そのため、企業は思うように資金を得ることができず、設備投資や人材投資などを通した事業拡大に乗り出すことが不可能になります。

 下に簡単な図で示しておきます。

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 一見デメリットだらけな政策金利の利上げですが、とある条件下ではメリットになります。

 それは「景気が良すぎる時」です。「景気が良すぎて困ることなんてねーよ!」と思う方がいるかもしれません。しかし、困ることはあるんです。

 

 景気が良くなると、家計による消費活動が活発になります。するとだんだん、インフレ傾向になっていきます。景気がいいと「高くても買おう」と考える人が増えるので、だんだん物価が上がってしまう(=インフレになる)んですね。こうなってくると、少しずつ生活に負担が出てきます。高い、高い、高い…モノの値段はつり上がり、気付けばコーラ1杯10000円、なんてこともあり得てしまうのです。

 

 このような事態を防ぐために導入されるのが「政策金利の利上げ」です。景気が良すぎるときに利上げが行われると、お金の回りが遅滞しはじめ、とめどないインフレーションの抑止力となるのです。

 

3-1-2 行き過ぎた利上げ政策

 さて、今回の利上げ政策ですが、どうやら「やりすぎた」ようです。インフレ抑止力としての政策が裏目に出てしまいました。

 確かに近年、アメリカの景気は好調で、インフレ危惧も多くされていたといいます。失業率は3.7%にまで低下し、順調に景気拡大への道をたどっていました。

 ところが今回、株安という形でそれが裏目に出てしまいました。日本の株価が下がったのは、アメリカの株安が波及したからなのですね。

 

 これを受けてFRBのトップ、パウエル議長は「2019年の利上げ回数を想定していた3回ではなく、2回」とする趣旨の発言をしています。うまく収まるといいのですが…

 

3-2 原因② 米中貿易摩擦による不安感

 今回の株安がアメリカ発ということを鑑みれば、米中間のしがらみが大きな影を落としていると考えることができます。

 ご存知でしょうか。今年に入って、アメリカは中国と熾烈な貿易戦争を繰り広げていたのです。その様子は週刊エコノミスト誌にも特集されるほど。中国の通信機器大手、ZTEへの経済制裁(部品供給の停止など)をはじめとする貿易摩擦は、世界中の産業経済に悪影響を及ぼしているのは言うまでもありません。

 これは先ほどの変動要因でいえば③国際的要因に属する要素ではないかと思います。

 

 本記事では政策金利と貿易摩擦を取り上げましたが、もちろん株安の原因はこれだけではないでしょう。おそらくここに書き尽くせないほどの事象が絡んでいると思われます。時間に余裕があれば適宜追記していきたいと考えているので、もしよろしければ定期的にチェックしてみてください。笑

 

4 日経平均株価の変動による影響

 さて、ここまで株価変動の原因について解説してきました。ここからは、実際のところ株価変動がどのような影響をもたらすかについて書いていきたいと思います。

 

4-1 日経平均株価が上がるメリット

 「日経平均株価?上がるとどうなるの?」こう思った人は少なくないでしょう。ここでは、そんな人に向けて「日経平均株価が上がるメリット」について書きます。

 

 日経平均株価は「景気を映す鏡」です。つまり、日経平均株価の数値をみれば、現在の景気がどのような位置にあるか把握できるのです。

 日経平均株価が上がると、市場や家計に安心感・期待感が生まれます。「景気は好調だ」こう考えると、なんだか少しばかり贅沢してみたい気になりませんか?企業も同じです。景気拡大が予測されると、多くの企業は設備投資や人材投資を通して新事業に着手するようになります。こうして企業は新たな利益を生み、経済を活性化させていくことができます。

 ここでは、雇用も改善されます。企業はお金を持つので、より多くの人材を採用することができるようになります。つまり、その分働き口が増え、失業率は減り、…最終的にはさらなる消費の押上げにつながっていくのです。

 

4-2 日経平均株価が下がるデメリット

 逆の場合はどうでしょうか。

 景気減退が予測されると、消費は細ります。「いつ首を刎ねられるかわからない」そんな不安が取り巻くことになるかもしれません。企業も利益が縮小しお金がないので、なけなしの金は未来のための内部留保にかわり、人材の採用枠はどんどん縮減します。

 そうなると、失業率は増え、景気はさらに悪化…と、暗黒のスパイラルに陥ってしまいます。来るか、一億総悲観社会

 

5 おわりに

 日経平均株価は下落。

 日本政府はこのような事態に対して、これまでもマイナス金利政策(利上げの正反対)を行ったりなど対策を練ってきました。今回の株安では、どのような対策が練られるのでしょうか。今後の株価回復を願って、この記事の締めとしたいと思います。アーメン。

 

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【『エクソシスト』考】『エクソシスト』が当時のアメリカ社会に投げかけたかったものとは?

こんにちは!

クリスマスも終わり一気に年末ムードですね…。今回は、映画『エクソシスト』を取り上げて、ちょっとした論考をしてみたいと思います。以前詳しく読み解いたものがあったので、内容を少し改変しつつ再掲します。

 

はじめに―『エクソシスト』とは?

 『エクソシスト』は、少女リーガンに憑依した悪魔と神父との闘いを描いた、その後のオカルトブームの火付け役となったアメリカ映画です。

 

 ワシントンに住む女優クリス・マクニールは、ある日、一人娘リーガンの異変に気付く。可愛らしかった顔や声は邪悪さを帯び、猥褻語の連発や荒々しい言動などの普段とはまったく正反対の行動をとるようになったのです。そこでリーガンははじめ医者に連れていかれるのですが、身体の異常は見受けられません。そして、担当する医師はだんだん彼女を見放すようになっていきます。

そんなとき、友人の映画監督バーク・デニングズの殺害事件が発生してしまいます。バークの死体はクリスとリーガンの住居の真下にある高い石段の下に転がり、その首は完全に真後ろにねじれていました。そこでクリス宅を訪れた担当のキンダーマン警部補は、「殺されて、娘(=リーガン)の部屋の窓から落とされた」と推測し、クリスに語ります。

娘が悪魔に憑かれていると確信したクリスは、神父であり精神分析医であるデミアン・カラス神父に悪魔祓いを依頼します。はじめは悪魔祓いには否定的だったカラスでしたが、リーガンの腹部に刻まれた「HELP ME」という文字を発見し、儀式を決意。主任には、悪魔祓いの経験があり、高齢ながらイラクで発掘調査に腐心していたメリン神父が選ばれ、カラスは彼の助手として儀式に参加することになりました。

いざ儀式が始まると、リーガンに憑いた悪魔はメリンとカラスを精神的に揺動していきます。それでも順調に儀式が進むが、途中、高齢のメリン神父が持病の心臓病により亡くなってしまいました。ひとり残されたカラスは、悪魔を祓うことができるのでしょうか?ネタバレになるので、ここでは結末は伏せます。

 

気になる方は↓をチェック!プライムビデオで見れます。

 

以上が、この映画のあらすじです。今回はまず『エクソシスト』に対する心理学的な解釈を取り上げたあと、その問題の根本が「父親の不在」にあることを指摘します。最後に、「父親の不在」が映画公開当時から現代にいたるまで連続して存在することを明らかにし、現代アメリカ社会の「悪魔祓い」をまなざしてみたいと考えています。

 

 

『エクソシスト』解釈

 この映画は、アメリカ本国で1973年の興行収入1位を記録し、第46回アカデミー賞を受賞するなど、多くの注目を浴びました。したがって、それだけ多様でたくさんの解釈・批評が存在します。本記事では、『エクソシスト』の心理学的解釈について取り上げ、考察してみたいと思います。

 

 心理学的な解釈については、種村季弘が1974年6月に読売新聞に投稿した「父親なき社会のオカルト-メッセージはアメリカ社会の病理」を取り上げます。種村は、「リーガンの父親(クリスの元夫)の不在」を、心理学でいうエディプス・コンプレックス的な抑圧と結び付けて論じています。すなわち、リーガンの父親における彼女への無関心を契機とした父親像の不在が、「彼女のなかに父なる神の反対像である悪魔を呼び寄せた」というのです。

 

 *エディプス・コンプレックス…フロイトによる概念。男根期(心理性的発達理論における3番目の期間。口唇期→肛門期→男根期→潜伏期→性器期)におこる抑圧。男児にとっては、母親を得んとして父親に対して対抗心を抱くことによる時期であり、女児にとっては、自分にペニスが存在しないことを知ることによる、母親から父親への性愛対象の転換がおこなわれる時期である。

 

種村は悪魔のことを「恐ろしい父親像」と表現しました。リーガンは白い父親(非悪魔的父親像=実父)の帰還を願っていたが、それは叶わなかった。こうして、彼女は無意識に黒い父親(悪魔)を呼び寄せたのだ、といいます。これによって、「『父親なき社会における攻撃性』が彼女のなかに巣食ってしまった」のです。そしてそれは、物語に時折描かれる、スラム街の荒廃・精神病院等の道徳的退廃の描写につながっているのです。

 

このような解釈をもとに、私は「白い父親」について少し踏み込んだ考察をしてみます。

 

考察とまとめ

アメリカ社会における「白い父親」

 当時のアメリカは、東西冷戦など様々な世界的問題に直面していました。たとえば、1962年のキューバ危機、1963年のケネディ暗殺、1965年から始まるベトナム戦争介入、1968年のキング牧師暗殺など、アメリカ社会の抱えてきた様々な矛盾が各事件となって噴出した時代だったのです。そして、このような社会背景のもと、『エクソシスト』が公開されます。

 映画中の「荒廃したアメリカ」描写は、まさにこの状況を表象しているのです。そして現代。この状況は一部改善され、また一部は放置されています。冷戦は終結したが、米中関係や北朝鮮情勢では依然としてロシアと対立したままだし、米抜き核合意は欧州とのすれ違いが見えます。

 

 映画が公開された1973年と現在を比較すると、アメリカ社会はたしかに大きく変化しました。テクノロジーは進歩し、暮らしやすい社会になったものです。

 しかし、抱えている問題の根本は解決されないままです。どんなにエクソシストが(その場しのぎとも言える)悪魔祓いをしても、根本原因である「白い父親」の帰還が実現しなければ、身体に巣食う悪魔は完全に消滅しないのです。

じぶんだけの「個性」をみつける方法。なぜ今「個性」が求められるのか

 

 初めに、みなさんに聞きたいことがあります。

 

「じぶんに個性がある」「じぶんは個性的な人間だ!」と思いますか?

 

 この質問に対して自信をもってイエス!と答えられる人は、そう多くない気がします。というのも、日本に住んでると生育環境が似通ってきてしまいますからね……みんなが全国共通の「学習指導要領」に則った学校生活を受けているわけですから。おそらく、あなたが持っている知識はほかの誰かも持っていて、その逆もありえてしまいます。

 

 そんな画一化教育で育てられた我々日本人は、みんながみんな同じ知能や能力を備えており、突出した才能があっても多くの場合は見逃されてしまいます。

 しかし、この画一的な集団は「没個性的で非生産的だ」だと一部に揶揄されています。たしかに、近代的な工場労働者だったり/ひと昔前の一次産業の従事者だったりであれば、「みんながおなじ能力水準」であることがメリットでした。ところが、工業が飽和してモノがあふれる現代社会では、このような画一的な集団は非生産的なのです。

 

 なぜならば、現代は「モノをそのまま売る」時代ではなく、「モノに付加価値をつけて売る」時代だからです。

 ぼくは最近わけあってブランド論という学術分野について研究しているのですが、ブランド研究は年々さかんになり、論文数も増加しています。これは、現代社会において”ただ「モノを売る」こと”が不可能になったことを暗示しているのかもしれません。

 つまり、現代は「モノを売る」ではなく「モノに付加価値をつけて売る」時代なのです。これが競合との差別化…いわゆる「個性を出す」ことだと考えられますね。

 

 これは産業に限った話ではありません。すなわち、個人レベルでも「個性」を出していかなければならないのです。落合陽一さんやホリエモンが口やかましく警鐘を鳴らしているのも、この類の事態です。

 落合さんもホリエモンも、「百姓をめざせ!」といっています。百姓の「姓」には、職業という意味があります。つまり「百姓」とは、「100の職業をもつ者」ということです。

 「100人に1人」の職業=個性がただ1つしかなければ、それは「100人に1人」ですが、それが2種類あれば「100×100=10000人に1人」になります。同様に、3種類の「姓」があれば「100万人に1人」の人間になれるんです。百姓って実はすごいことだったんですね!

 

 さて、現代に生きる我々が百姓になるために必要なのが、「個性」です。個性とは「他の人にはないじぶんだけの特長」のことですが、今回は、個性を見つける方法についてひとつだけ語ってみることにします。

 

 それは、「ほかの人がピンとこないような分野に興味関心を抱いた時に、徹底的に突き詰める」ことです。「好きなことは○○!」じゃなくて、「〜〜だから○○が好き!」という風にね。”なぜ”好きになったのか、常に「理由」を問い続けるのです。そこには必ず、じぶんのセンサーがそれに反応するようになった何かしらの原体験があるはずなので。もしそれが、ほかの人がピンと来ていない事柄だったとしたら、チャンスです!それは「じぶんだけの個性」になりえます。

 

 好きになった、興味を持ったものに、その理由を追求してください。そして、その原体験それ自体が、じぶん自身のアイデンティティとなり、武器になっていくんです。

 

 じぶんも、常に意識して問い続けています。これ、トップレベルのひとはおそらく無意識にできてしまうんですが、そうじゃないひとは、意識してやらないと難しいです。

 問い続けることで、じぶんの感覚の機微がより理解できるようになり、なにより、じぶん自身と、じぶん自身の「個性」とを深く理解できるようになりました。ぜひ実践してみましょう